2006年01月19日

濃厚鶏そば(創新麺庵 生粋)

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生粋さんの新しいラーメンが出来上がった。写真のラーメン。「濃厚鶏そば」である。
実は先日このラーメンを試食させていただいた。生粋池袋店の店長岩井さんに店内に貼るポスターの撮影を頼まれ、その撮影に使ったラーメンを食べさせていただいたのだ。

見た通り、鶏の白湯系のスープ。塩梅の良い塩味。上質で丁寧さを感じる鶏のアブラ。まさに「濃厚にして繊細」である。

この「濃厚鶏そば」の麺であるが、このラーメンに合わせた特注品である。加水率の高いもっちりとした太目の麺だ。生粋の麺の中では珍しく食べ応えがある。しかし、一番の特徴はこのスープ。僕はラーメン業界に詳しい訳ではないが、最近は「鶏の白湯系のスープ」が流行なのだろうか?いろんなところで見かけるし、話にも聞くようになった。生粋のこのラーメンの良いところはこの濃厚なスープにどこか上品さを感じるところである。

「どうですか?」と店長の岩井さんに聞かれ、
「撮影に10分ぐらい時間を使ったのにスープがこんなに熱いのにはびっくりしました。麺はちょっと伸びちゃった感じがするけどね」。
「脂っこいものが好きな若い子にこのラーメンを食って貰って、どこかに上品さを感じてもらったらいいんだけどなぁ」。
と、そう答えた。

季節限定のラーメンにしては¥800という価格設定も良心的だ。
でもさ、これって仕込みが楽だったりするんじゃないの?
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【メニューの最新記事】
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2005年12月31日

大晦日

今月何も書かないという訳にもいかず、キーボードの上に手を乗せてみたものの、なかなか筆が進まない。今年を振り返ってみようと思い返しても、この一年、あっという間に過ぎたなと思うばかり。

天気予報は少し変更されたのだろうか。薄雲の少しかかった寒そうな天気だが、雨の気配は感じない。明日の朝は初日の出を浴びて帰りたい。

来年は良い年になりますように。
posted by 池袋名物 at 15:31| Comment(5) | TrackBack(0) | 日々の雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月27日

珍客現る

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珍しい客が来るというのも店をやっている楽しみのひとつである。
荒木君が休みの先週月曜日。客足の遅い始まりであった。9時を過ぎてまだノーゲスト。僕はポツポツと翌日のブログの原稿を書いていた。

年は40代中頃。しっかりと大きな体躯。その持ち前の骨格を上手に利用し太く大きな声を出す。
その男、自らを「カクテルの国の王」と名乗った。

他愛のない世間話から始まった。間合いを詰めジャブをやり取りする。聞けば都内に限らず多くのバーを飲み歩いているという。当然のごとく知り合いの店の話にも及ぶ。かつてうちの店で働いていたメンバー、今年の8月までジェイズ・バーの2号店を任せていた原田君や、今は吉祥寺にいる横井君のことも知っているらしい。

つくづく思うがこの業界も意外に世間は狭い。手繰り寄せていけばどこかで誰かと繋がっているのだ。しかし、ぼんやりとばかりもしていられない。この手のお客様は「要注意」の扱いである。

ポイントは「相手の心に潜む悪意」。その存在の有無を見分けられるまで迂闊には動けない。誤解を恐れず失礼を承知で言わせていただくが、「ただ難癖を付けたいだけ」というお客様も中にはいるのだ。

ご本人からも話は出たのだが、この「カクテルの国の王」、実は以前に一度ジェイズ・バーに来たことがある。最初のうち僕もピンと来なかったのだが、次第に思い出した。3,4年前のことである。
3,4年前のその日。「カクテルの国の王」は結構な酔いっぷりであった。聞けば本日6,7軒目ということであった。
僕は酒を飲んで酩酊することを責めない。酒を売っているくせに酔っ払うなというのは詐欺だとすら思う。バーが公共の場所であることを理解していただけるなら、それ以上何も言わない。お行儀良くかしこまって飲んでいてくれれば僕らの仕事は楽チンなのかもしれないが、お客様がつらいだけだろうし、何しろつまらないだろう。大切なのは行儀の良し悪しではない。周りの誰かを不愉快にしているかどうか。それが僕のスタンスである。
その日のジェイズ・バーはそこそこの混み具合で、あまりお相手をすることもできずに「カクテルの国の王」は1杯で帰った。確かに今思えば、短い時間であったがその存在感だけは残して行ったなと思う。

さて、肝心の「相手の心に潜む悪意」である。そんなものにまんまと一杯喰わされるほどこちらも小僧ではない。かといって手強い客を相手にさっさとシッポを巻いてその軍門に下るのもおもしろくない。そして何よりも優先順位の高いことであるが、どんな人にもできる限り満足して帰っていただきたい。「カクテルの国の王」であろうが誰であろうが、ジェイズ・バーに来た以上は満足をして帰っていただきたい。

真っ当に飲み慣れた人というのはきちんと自己主張はするが、実は極力その店のスタッフに失礼にならないようにするものだ。彼らは自らを良く知っている。「私は気持ちの良いサービスを受けたいのでここにいるのだ」というごく当たり前の自覚が彼らにはある。良い酒飲みというのは自らのその気持ちを大切にする。自らの大切にするものを相手にも大切にして欲しいので、まずは相手の大切にしているものを探っておこうか。という風になる。礼を欠いては楽しくなれない。彼らはそのことを良く知っている。
悲しいことに、名も知れぬ街の「バー評論家」は結果としてただの皮肉屋になってしまいがちだ。皮肉屋はどんな時でも「間違い探し」と「後出しジャンケン」に終始する。悪意と敵意を剥き出しにしては良いサービスを受けられることもないだろうにと思う。結果として彼らは気持ち良くなれない。気持ち良くなれないから文句を言うことで溜飲を下げる。本来気持ちが良くなるために飲みに行くはずなのに、飲みに行くことの目的が溜飲を下げることになってしまう。溜飲が下がるためにはそれ以前の不愉快な思いが必要になり、結果として不愉快な思いを求めて酒を飲みに行くこととなる。本末転倒であり、悲しいかな悪循環である。

もちろんすべての酒飲みが皮肉屋である訳ではない。先ほど申し上げたようなことはごく一部の人たちのことだ。そして繰り返しになるが、もう一度言わせていただく。僕はいつだってどんな人にもできる限り満足して帰っていただきたい。どんなときも僕はそう思い働いていいるし、そのために努力をしているつもりだ。
しかし、僕は皆様にひとつ言い訳をしなければならないかもしれない。40も過ぎてつくづく思うのだが、やはり人にはそれぞれに能力の限界というものがあるのだろう。僕には僕の身の程というものがあるのだ。僕はぼちぼち僕の身の程の中で生きる覚悟が必要なのかもしれない。例えば僕よりおいしいカクテルを造る人というのはたくさん存在するのだ。「コイツには適わない」、僕がそう思えるバーテンダーは確実にいるのだ。僕は考える。おいしいカクテルが造れるように努力を積み重ねるべきだろうか?それともその時間を他に振り向けるべきだろうか?

若いバーテンダーにはひと言申し上げておきたい。身の程を知ることは不幸なことではない。大切なのは「身の程を知り、夢を見ること」だ。身の程を知ったなら、夢のカタチは整ってくる。そして夢を見たなら、また身の程を知らされる。けれど再び知らされた身の程により、さらに夢のカタチはより正しくなる。「身の程を知り、夢を見ること」。人生とはそれの繰り返しである。身の程を知ること。それは幸せへの近道ですらある。
何でもやってみろ。好きなことなら続けられる。

さて、話を戻そう。
話は「カクテルの国の王」の「心に潜む悪意」についてである。
あくまでも僕の判断した結論であるが、「カクテルの国の王」の心の中に悪意はない。確かに露悪的。やんちゃでいたずらなところは十分に持ち合わせているが、ひと言皮肉を言いたいがために飲み歩いているような人ではないと見た。
何処に行っても誤解を受けやすい人だろうということは想像に難しくない。しかし彼の言葉に素直に耳を傾けるならば、「私は気持ち良くないということをあなたに向かって今申し上げたいのだ」ということを彼は言いたいだけなのではないだろうか?

「私は気持ち良くない」。
実はそのひと言を素直に言うお客様というのはほとんどいない。多くのお客様はそのひと言を我慢して帰ってしまう。我慢して帰ってそしてその店に二度と行かなくなってしまう。そのことは僕たちバーテンダーを苦しめていることになるのだろうけど、残念ながら僕たちは本当のことを知る機会を失ってしまう。
大人になれば理解できるようにはなる。あの人が来なくなった理由を。だけどその理解は僕の想像力の結果であって、事実を知ることとは違うはずなのだ。

「私は気持ち良くない」。
今回、「カクテルの国の王」はそう言わずにジェイズ・バーを去った。けれどどうやら方々の店でその台詞を言っているらしい。恨みを買うことも多いのだろうけど、僕らはその言葉に耳を傾けねばならない。

僕自身思うところの多い「カクテルの国の王」の来店であった。言い足りないこともある。
恐らく来週末。この話、次回に続く。
posted by 池袋名物 at 08:15| Comment(24) | TrackBack(0) | 日々の雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月12日

小ネタ3本

今日はちょっとした小ネタを3本。

その1
先日、蒔田寿司でサンマのヌカ漬けを食べた。焼いて食ったのだが、これが非常にうまかった。ちょっと味は濃い目。程よく油が抜けている。表面がこんがりとキツネ色に焼けていて見た目もよろしい。箸の先でサンマの皮を裂くとパリッとした感触が心地良い。中はしっとりとジューシー。パサパサ感はない。日本酒のアテにベリーグーであった。

その2
先日、寿々屋のオヤジさんに来ていただいた。案内状もいただいたのだが、開店は11月22日に決まったようだ。楽しみである。開店してすぐはお客さんもたくさんいらっしゃるだろうから、少し日をずらして伺う予定。

その3
はっきりしない話で申し訳ないのだが、生粋さんでメニューにないラーメンの試食会を検討中。詳細は後日。
posted by 池袋名物 at 06:05| Comment(17) | TrackBack(1) | 日々の雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月02日

秋そば

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先月秋分の日の三連休を最後に大阪から「おっちゃん」が帰って来た。店の前にはこんなポスターが貼ってあった。大阪で使っていたポスターなのだろうか?
創新麺庵「生粋」である。

大阪から帰って9月いっぱい、一応は休暇ということでゆっくりと過ごしたようだ。昨日10月1日からまた生粋池袋店での仕事が始まったようだ。

早速10月1日に生粋に顔を出した。「おっちゃん」の半年ぶりの復帰を祝ってのことではない。お目当ては10月1日から始まったこの季節の限定メニュー「秋そば」である。実際のところ9月の後半はジェイズ・バーで毎日顔を合わせていたのだから。

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僕は去年の秋から1年間この「秋そば」を心待ちにしていた。
松茸、鴨、だし巻き玉子のトッピングも素敵だが、柔らかいコクのあるカワハギを使った旨味のきいたスープが好きだ。1杯¥1,250のラーメンは確かに高い。しかし季節限定のちょっと贅沢なラーメンと考えるなら妥当な値段である。「今年はカワハギがちょっと高いんですよ」、とはおっちゃんの話だ。

一日20杯くらいの限定品だったと思う。しかも今週フジテレビの夕方のニュース番組で生粋のこの秋そばが紹介されるという。毎日定数完売は当たり前のラーメンだろう。お早目に食べていただいた方がよろしいのではないかと思う。

ところで昨日ジェイズ・バーに来たおっちゃんに凄い話を聴いた。生粋の新作ラーメンの話である。今年の12月頃デビューの予定らしいが、本当に驚いた。僕の中では「ラーメンとしてあり得ない」話だ。その話は今週のフジテレビでも紹介されるらしいので、ここではあえて言わない。
posted by 池袋名物 at 17:58| Comment(4) | TrackBack(0) | メニュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月01日

ふくろ祭り

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毎年この時期に開催される「ふくろ祭り」。年を追うごとに盛り上がってきているという印象もないが、ここ池袋では秋の定着したイベントとしての認識は高い。
かつては敬老の日(9月15日)前後に開催されていたはずだが、雨(しかも台風)に当ることが多く少しづつその開催日を後ろにずらしつつあるようだ。今年は9月24、25日と10月1日2日。つまり今まさに開催中だ。

ふくろ祭りの日には間違いなく仕事があるので、街がどんな賑わいなのか実は僕はあまり詳しくない。しかし、神輿も出る祭りなので当事者は結構熱くなるようだ。駅前の飲食店の従業員と神輿を担ぐ人間が、「看板を壊した」「壊さない」で喧嘩をしたなんて話は昔よく聞いたけど、今はどうなんだろう。

9月になると毎年こんな立て札が街に現れる。(写真のとおり)

「お知らせ
本年のふくろ祭りは、
9月の24日(土)25日(日)と、
10月の1日(土)2日(日)に成りました。
ふくろ祭り協議会」

非常にどうでもいいとは思うのだが、この立て札の最後「成りました」を「なりました」と書いてくれないかとそんなことを思ってしまった。
「成りました・・・か?」
しばし立て札の前に佇んでしまった。
posted by 池袋名物 at 18:50| Comment(2) | TrackBack(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月11日

創新麺庵生粋

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何やら仰々しい名前の店であるが、ラーメン屋さんである。
実はこの店に関しては僕のもうひとつのブログで何度か記事にさせていただいた。

ジェイズ・バーから近いこともあり、かつては僕らの「昼休み」の時間に食事をしに足繁く通わせていただいた。しかし開店当初の閑散とした状況からは打って変わって、この店は瞬く間に繁盛店となり、午後10時頃には「スープ完売」。僕がこの店で「昼食」を取ることは不可能になった。
サンマを使ったスープで一躍有名になったこの生粋であるが、当時は本当にハマッてしまったのである。芳ばしい焼き魚の香り。それがいったい何であるのか、まるで分からなかったのである。分かるまで通い続けようと思ったものだ。

当時僕がハマッた醤油ラーメンもいいが、季節ごとの限定ラーメンもかなりのお勧め。去年の夏のトマトソースの冷やし中華も良かったし、松茸入りでカワハギでだしを取った秋そばは旨かった。ここ最近は季節のラーメンのない時には上生粋の塩ラーメンがほぼ定番である。

生粋が繁盛店となり僕らの昼休みの時間には使えないようになってしまった頃と時を同じくして、この店の店長さん(当時は店長ではなかったのだけれど)がジェイズ・バーに来てくれるようになった。繁盛しているラーメン屋さんに話を聞くと、本当に皆さん恐ろしいほどに働くのだが、この生粋の店長さんも同様。しかし、お客さんの密度が濃くなった分だけ仕事は早い時間に終わるようになったのだろう。元気でたくさん働く人にはその日の終わりに、一日のご褒美が必要なのかもしれない。結果として彼はそれを自分で用意できる程度には時間に余裕ができた。

ほぼ毎日のようにジェイズ・バーに通ってくれるようになると、誰でもそうだが他愛のない話の繰り返しだ。日常的な出来事、日々の暮らしの話。昨日の話しの続きがすぐに始まる。そんな関係になる。僕は仕事を抜きにしてもスコットランドのウィスキー、中でもシングル・モルトが好きでありこんなブログ(モルト侍)も立ち上げているので、「ジェイズ・バーのお客さんはシングル・モルトの話しかしないのではないか」なんて思われることも多いけど、実はそんなことはまったくない。

僕と彼がどんな話をしていたかは守秘義務のため言えない。でも僕が彼と話をしていて感じるのは、非常に人に興味を持ちながら人への執着が少ないところ。決して軽薄ではないのだが身軽なところ。人並みのズルさを持ち自らのその身勝手さを自覚しながらも、あきれるほどに情が深いところだろうか。「疲れるんじゃねぇのか」と思うし、「貧乏くじ引くなよ」とも思う。でも、何だろう。彼は今どこかへとすり抜けたがっているような気がしてならない。

今年の春、僕らにはちょっとしたお別れが訪れた。4月から半年間、彼は大阪にあるナムコのフードテーマパーク「浪花麺だらけ」(おっちゃんの写真入)に仕事で出向いて行った。いくつかのラーメン店が集まる施設に生粋が出店することになったのだ。ちなみに大阪の生粋、どうやら絶好調らしい。

彼が大阪へと去った後、実質的に店を仕切っているのは「白い長靴の女」。このニックネームは僕が考えた。ラーメン屋の厨房で白い長靴を履いているからそう名付けた。我ながら安直であるが。もちろんそれはどこかで通用する通称ではない。僕と大阪へ行った元池袋店長の間でしか通用しない。ちなみに僕はこの娘のファンだ。

今年の初夏、まだそんなに暑くない日。僕はラーメンを食べに生粋に行った。店の一番奥のカウンター席で「白い長靴の女」が書類を整理している。僕はすかさず隣に座った。「大阪はどんな調子?」、そんな話をしているところへ彼女の携帯電話が着信を知らせ点滅した。
「あ、おっちゃんからだ」。
そう、「白い長靴の女」は彼のことを「おっちゃん」と呼ぶのだ。話の始まりこそ仕事に関わることのようであったが、1分も過ぎぬうちにどうやら世間話のようである。夕方の早い時間、ちょっとしたお客さんの切れ目をみて携帯電話を片手に一服している「おっちゃん」の顔が目に浮かぶ。

「ちょっと待ってね、今蓮村さんに替わる」。
電話がまわって来た。特に変わりはないようだ。だけど働き過ぎてハイテンション、そんな風にも聞こえる。久しぶりの「東京の人」の声に少しばかりでも元気が出てくれればいいが。

大阪の生粋は予定通り9月で終了。「惜しまれつつ、半年で帰る」。その当初の目標は「惜しまれつつ」に関しても、「半年で帰る」に関しても予定通りなのだろう。旅立つ前、「向こうで女を作って面倒見てもらう」だの、「大阪のラーメン屋に就職する」だのぬかしていたおっちゃんも予定通り帰って来る。大阪で働きづめだったおっちゃんである。9月の後半に少し長めの休暇を貰い10月から池袋で完全復帰になるだろう。大阪の店を片付けて彼は池袋に戻って来る。

半年振りに会う彼と、また昨日の続きのように話が始まるのだろう。きっと。


店舗案内
住 所:豊島区池袋2-12-1 大晃ビル1F
定休日:不定休
開 店:午前11時半(ランチタイムは午後3時まで)
閉 店:(夕方5時半から)おおよそ10時過ぎくらいまで
池袋西口から要町通りを要町方面に向かい、マルイの交差点を過ぎてクレリオンホテルの右折。
一つ目の交差点の角。
posted by 池袋名物 at 08:41| Comment(2) | TrackBack(2) | 飲食店 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月21日

とんかつ屋のオヤジ、現る。

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先週の木曜日、とんかつ寿々屋のオヤジさんに来店していただいた。深夜12時を過ぎた頃、終電を境にちょうどお客さんの切り替わる時間、客席はまばら、僕は店の裏で食事をしていた。手早くサンドイッチを口に放り込みカウンターに戻った。

「あぁ良かった。今日は蓮村さんにご挨拶に来たんですよ」。
僕の顔を見るなりオヤジさんはそう切り出した。11月に予定しているとんかつ屋の営業再開に何か問題でも生じたのだろうか。僕は少しドキリとした。
「いやいや、実はお礼を言いに来たんです」。
お礼?正直余計にわからない。

訊けば先日の僕のブログを読んでいただいたそうなのだ。ひとことお礼を言いたくなっって来たのだと言う。ありがたい限りである。何よりオヤジさんが嬉しく思ってくれていることが僕も嬉しい。少なくともご迷惑をかけている訳ではないことは分かった。

新しいビルの建て替えにともなって一旦前の店を休業してもう10ヶ月になるという。少しのんびりさせてもらったが、8月に入ってから新店舗の開店準備で忙しいという。「狭くて汚い店が清潔で少し広くなります」とはご本人の弁だ。人の手配も大変だろうし、その日もついさっきまで内装の業者と打ち合わせをしていたのだという。9月の下旬から内装の作業に入り、11月の中旬には装いも新たに開店の予定だ。内装の業者が入ってしまえば実際のところ店主のやることは極端に少なくなる。犀は投げられた。そんな気分になるものなのだ。オヤジさん、いい店を作って下さい。必ずしもオシャレな店である必要はないのだから。オヤジさんの顔の見える店を、そしてオヤジさんがおいしいとんかつをこれから先長い間揚げ続けられるような店を、それが僕の望むところです。

先日の僕のブログを読んで、「これからは『いつものでいいですか?』とは訊けなくなっちゃいましたね」、とオヤジさんは言う。「いやいや、あれは始まりの合図ですから、これからも続けてください」、僕はそう答える。

「蓮村さんはいつ頃からうちの店に来てくれていたんですかね?」。
「僕が自分で店を出す前、東口のバーで働いていた頃からですから、もう15年くらいは前になるんじゃないですかね」。

カウンターの中にいてお客さんと話をしていると、ふとしたタイミングで「カチッ」とスイッチが入る瞬間というものが分かる。お客さんの心の中のスイッチがオンになるのだ。自らそのスイッチを押す人もいるけれども、この日のオヤジさんは「押してくれ」と言わんばかりに僕にスイッチを差し出してくれたような気がしてならない。もちろん僕はそのスイッチを丁寧に押した。人によっては「押してくれ」と言って差し出したスイッチを隠してしまう人もいるし、錆びついていてなかなか押せない人もいる。時には押し方の分からないスイッチもあったり、苦労することも多いのだが、この日のオヤジさんのスイッチは素直にオンになった。

思い出話の始まりである。
人は思い出の並んだ線のその先頭に立ちその眼差しを未来へと送る。普段何事もないような時には、その思い出の並んだ線の方向そのままの延長を真っ直ぐに歩んでいく。だけど、必ずしも不幸なことであるとは思わないが、何事もないまま人生は終わらない。人生に岐路はあり、転機は誰にでも訪れる。未来に向かうその眼差しの方向を変えなければならない時は誰にでも来るのだ。いや、眼差しを変えただけでは済まない。眼差しを向けた方向に歩んでいかなければならないのだから。であるなら、実は体ごとその向きを変えるのが一番良い。
子供の頃は良かったのかもしれない。後ろから肩を押さえられ、このまま前を見て真っ直ぐに進めと言われ、背中をポンと押されて歩み始めれば良かったのだから。

思い出とは過去の出来事である。過去の出来事を解釈しそこに意味を与えていくことを歴史という。その背景に歴史を持つことは力となる。それは人が未来に向かって歩むための動力の源泉となる。だからこそ、どの方向に歩んで行こうかと決めた後に、人は自分の歴史を振り返る。

「僕はあまり良い職人ではなかったかもしれない」。
オヤジさんは自らの過去をそう振り返る。昔は良くお酒を飲んだし、飲みながら仕事をすることも多かった。飲み過ぎて開店時間に店を開けられなかったこともあった。真っ黒なエビフライを出してしまったこともあった。さすがに翌日青ざめて恥じ入り、菓子折りを持ってそのお客さんにお詫びに行ったそうだが。
昔は店の利益のことしか考えていなかったかもしれないとも言う。池袋のことも興味がなかったとも言う。世の中にはうちよりもおいしいとんかつはあるんです、とも。

このオヤジさん、実は2代目だ。先代はおとうさん。どういう経緯で店を継いだのか、僕は知らない。若くしてこの店を継いだ時、大先輩であるこのオヤジさんにしても、まだ未熟で腹が括れていなかったのかもしれない。勝手なことを言わせてもらおう。やはり、この人を育てて来たのもまたお客さんではないだろうか?

憶測でものを語るのは良くない。僕の悪い癖だ。最後になるが、僕の知っていることを書いておこう。
僕にとって寿々屋さんのとんかつは十分においしい。僕の知る限りここより旨いとんかつは池袋には存在しない。そして、このオヤジさんがお客さんを良く見ているのを知っている。どんな様子でお客さんがとんかつを食べているのか気になるのだろう。お茶がなくなった。冷たい水が飲みたそうだ。箸を落とした。おしぼりが欲しそうだ。そういうことに普通に気づく。ごちそうさまの声に応えるオヤジさんの笑顔が僕は好きだ。

本日の冒頭の写真はオヤジさんからの暑中見舞い。「とんかつ屋のオヤジ」の文字が光っている。50を過ぎてなお、この人の眼差しはしっかりとその未来を見据えている。「善いとんかつ屋のオヤジ」に向い、ぶれない。

「来てくれたお客さんの顔を見ながらとんかつを揚げようと思ったら、僕にはこれ以上大きな店はできませんよ」。新しい店について語るそのひとことが印象的であった。ビールを3杯飲んでオヤジさんは帰った。
posted by 池袋名物 at 08:39| Comment(9) | TrackBack(1) | 飲食店 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月15日

お知らせ

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皆様にお伝えしなければならないことがある。
今月(8月)一杯でジェイズ・バー・セカンドを閉店させていただくことになった。僕自身にとっても切なく痛みを伴う決断であったが、昨年の秋頃から考え始め今年の春に最終的な決定を下すに至った。

世の中がミレニアムに沸く1999年、ジェイズ・バー・セカンドはオープンした。店長を任せた原田君は当時まだ25歳。6年間良く頑張ってくれた。本当に感謝をしている。6年の時間をかけて立派な大人のバーテンダーになったと思う。
元来、快楽に敏感な原田君である。不愉快なもの、違和を感じるものを排除し過ぎてしまう傾向はあるが、その彼の特質は「自分の店を守る気概」として十分に発揮できていた。6年間あの店を守ってきたことは間違いなく彼の功績である。彼にしかできないことを彼はして来た。そしてそのことを誰より理解しているのはお客さんだと思う。人の支持を受けて店は成り立つ。バーテンダーもまた然りである。

誤解のなきようひとこと申し上げておきたい。
僕の中には自分が原田君を育てて来たという自負はない。どんなバーテンダーもまず誰よりお客さんによって育てられる。原田君もまた然りである。
僕にできたことは、その舞台を用意することだけである。場所が、立場が、ポジションが人を育てるという側面はあるかもしれない。だけど進歩する意思のない人間は成長しない。場所があり、人に向い、意思を持って初めてバーテンダーは成長する。原田君には確実にその意思があった。何より欲しいものを「欲しい」と言い続けたのだ。人の意思はそこに現われる。

30も過ぎたらぼちぼち独立について真剣に考えねばならないのが僕らの業界である。40も過ぎて給料を貰ってバーテンダーを続けられる人は稀である。その駆け出し時代、遊び盛りの同世代の友人を横目で見ながら、ある意味青春を犠牲にして仕事を憶えて来た。僕らバーテンダーにはそんな側面もある。他の街のことは良く分からない。だけどここ池袋はそんな街だ。
独立に向い、原田君の中に時間切れがやって来ることは確実に予想できた。
「こいつはそのうち自分の場所を欲しがる」。
それは不幸ではない。道理である。

人をどこかに閉じ込めてはいけない。
人に固着した役割を背負わせ続けてはいけない。
思いやりを欠いた執着は誰をも幸せにしない。

それは40を過ぎて今なお、僕の中に残った素朴なポリシーである。
もちろん、自戒を込めて。

30を過ぎて自分の場所を欲しがり始めた原田君に僕はひとつの選択肢を提示した。そこには僕からの感謝の気持ちも込められている。
「この店を譲り受けないか?」。

結果として原田君は店を引き継いで営業する道を選んだ。彼はそれを欲しがってくれた。

やはり皆様にはお詫びをしなければいけない。
まず、今回このご報告が遅くなってしまったことを。
手続き上いろいろなハードルがあり正式な発表が遅くなってしまいました。先日やっと契約を済ませ原田君も引き返せないところまで辿り着きました。早速のご報告でありますが、遅くなったことを素直にお詫びいたします。

また、これまでご愛顧を賜った皆様には本当に感謝をしております。
私、蓮村の器量の足りなさからこのたびジェイズ・バー・セカンドを閉店する決断を下しました。残念に思ってくださる方、不愉快な思いをしていらっしゃる方もおられると思います。心よりお詫びを申し上げます。そして本当にありがとうございました。

終わりは始まりである。
ジェイズ・バー・セカンドは8月にその幕を閉じ、原田君がオーナーの新店舗は9月の初旬にオープンの予定。
9月以降の新展開にご期待を、そして皆様のご支援を。
そして残り少なくなったジェイズ・バー・セカンドに会いに来てください。
posted by 池袋名物 at 11:31| Comment(12) | TrackBack(0) | 日々の雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月06日

さかば「ふくろ」

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本日紹介するのはこの店、「ふくろ」である。
池袋西口駅前。東武デパートと西口公園のあいだ。細い2本の路地に挟まれて建つ1棟のビルこそ「ふくろ」である。間口が狭く奥行きのある、いわゆるうなぎの寝床といわれるような建物。挟まれた2本の路地のその両方に出入口を持つ。両方の出入口のどちらから見ても「コの字型」のカウンターがあるような(つまりは「ロの字型」)テーブル席のない居酒屋さんである。

念のためお断りしておく。この「ふくろ」ご紹介はするが、お薦めはしない。
この店を不愉快と思う方は少なからずいらっしゃると思う。

客席はいつも満席。厨房は上の階。料理を運ぶ2台のリフトはいつでもフル稼働。2〜3人いる「おねぇさま」がカウンターの中でチャキチャキと働く。朝7時から営業という不思議な居酒屋である。

この店の何よりの特徴はその安さと独特の老舗感。所々剥げかかった壁紙、手書きのお品書き、雑然と積み重なった段ボール箱、アイス・ペールとホッピー、ビールは大瓶、薄暗く汚いトイレ。それぞれ値段が如何程のものなのか、詳しいことは分からない。しかし、この店でひとり¥3,000を超えるほど飲んだら確実にぶっ倒れると言われる。
意外なことに(いや、もちろん意外であるが故に)料理がおいしい。僕はここの穴子のてんぷらが好きだったりする。刺身だって(意外に)悪くない。安酒場の刺身なんて頼む気がしない。なんて思っている方は是非とも頼んでみて欲しい。マグロかカツオであれば恐らくハズレではないはずだ。何より驚くほどに「サク取り」がきれいだ。少なくとも¥400のこの刺身に僕は文句を言う気にはならない。
営業時間は朝7時から。僕のような飲食業に携わる人だけではない。様々な職種の池袋界隈の深夜勤務の人達が、朝方食にも酒にも満たされない胃袋を抱えてやって来る。長い間、都市の裏方の庶民の胃袋を支えてきた酒場である。

土曜日、ジェイズ・バーの営業時間終了間際に蒔田寿司の親方が現れた。店の片づけをサッと済ませて滑り込んで来たといった風である。
「いや参ったよ、今日はヒマだった」。
築地に仕入れに行く都合もあって、どんなにヒマでお客さんがいなくとも朝4時までは店を開ける。そう言っていた親方であるが、今のところその誓いは守られている。日曜は店も築地も休み。この時間、親方にとってはのんびりしながらの酒である。

入って来た時間が遅かったせいもあり、結局親方が帰ったのは8時にもなろうかという時間。しかもそれだけでは済まない。
「じゃあ、マスター、ちょっと飲みに行きましょうよ」。
当初は近くの¥300均一の居酒屋に行こうということになっていたが、プラプラ歩くうちに急遽予定を変更。
「やっぱり、うちで飲むか」、「タダだしな」。
スタッフの荒木君を含めて3人で蒔田寿司へ。
ミル貝の刺身をつまみにビールをいただく。キンメの煮物を作っていただく。最後はあら汁の雑炊でしめる。
「じゃあ、ぼちぼち」。
僕は時計を覗いて一声掛けた。10時になろうとしている。ジェイズ・バーは日曜も営業である。荒木君に寝坊をされては困るのだ。
「ごちそうさま」。
荒木君とふたりで蒔田寿司の引き戸を開けて表に出たが、荒木君だけを返して僕はまた蒔田寿司へ戻った。

残ったビールをやっつけながら、ふくろでアジフライが食いたいという親方の希望を汲んで再び表へ出た。7月下旬、午前10時の日差しが少し痛い。

ウーロン杯をふたつ、残念なことにアジフライは品切れ、穴子のてんぷらとマグロの刺身をつまみに野球談義に花が咲く。イチローに批判的な親方とイチローを擁護する蓮村。ジャイアンツの体たらく振りにお互い共感し、広岡の正当性とメジャーの緻密さの背景にある日本野球とバレンタイン監督の功績。親方の落合論に僕は敬意を表し、僕のメジャーの野球のパーフェクト・ワールド志向に関わる一考察に親方は関心を示した。勝手ではありながら相手の話にも耳を傾ける。そんな時間はあっという間に過ぎた。

僕は時計に目をやる。
「じゃあ、もう、帰ろう」、「お勘定!」。
親方がおねぇさんに声を掛けた。

久し振りの「ふくろ」はちょっと懐かしい匂いがした。
posted by 池袋名物 at 19:20| Comment(3) | TrackBack(1) | 飲食店 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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